ねっこ自然農園【お米・お野菜/高島市】

今回訪ねたのは、滋賀県高島市にある"ねっこ自然農園"さん。畑は、高島市と大津市とが隣接する場所にある。農園主・加藤大輔さんに案内してもらった。



段々畑から見下ろす風景

段々畑を傾斜づたいに吹き抜ける風。颯爽と走り抜ける列車とその先には碧くきらめくびわ湖が広がる。まるで風景画を見ているような錯覚になる壮大なパノラマ。隣接する大津市との境を流れる高島市鵜川の近くにある“ねっこ自然農園”の畑から光景である。近くからだとあまり実感が湧かないけれども、俯瞰してみてあらためてびわ湖の存在の大きさに気づかされる。

近くを流れる小川のせせらぎも偉大なびわ湖と対比され、なんだかよりちっぽけに映る。 



旅でつむぐ食 

バックパッカーとして東南アジアを中心に旅していた経験を持つ農園主の大輔さん。バックパッカーとしてのインスピレーションを受けた本の一つには、「深夜特急」がある。そういえば、長浜のあやべとうふの店主・徹郎さんも似たようなお話をされてたような。

観光地を見て回る「旅行」ではなくて、より現地の暮らしに近い「旅」というものがそうさせるのか、それとも本人の中に眠っていた潜在意識を旅が引き出すのか。それは定かではないが、大輔さんも旅先で「食」の重要性・面白さを実感することになる。 

どんな場所でもお腹がへったら食べなきゃ死んでしまうし、どんな場所でも生活の根幹に「食」がある。



WWOOFとの出会い 

2015年にねっこ自然農園としてこの地に辿り着くまで、海外だけではなく国内でもいくつかの場所で過ごすことに。そのとき、活用していたWWOOFが大輔さんと農業を結ぶこととなる。

[WWOOFとは? ]
有機農家であるホストと、日本全国・世界各国のウーファーをつないでいます。WWOOFのサイトを通し様々な人と友達になり、その関係性を深化させ、オーガニック生活を知り、新しい知見を得て、価値観の多様性を感じ、自分を向上させていくものです。家族のような気持ちで、何をしたら相手が喜んでくれるかをお互いが念頭に置きながら一緒に短い間生活します。

ホストとウーファーはお金のやり取りはしません。「食事・宿泊場所」と「力」そして「知識・経験」を交換します。(『WWOOF ジャパン - ホーム - WWOOF JAPAN
』より抜粋)



初めは農業に惹かれたというよりは、WWOOFを利用することで食事があり泊まる先があり、ある意味最低限のセーフティーネットが敷かれている環境で働くことに興味を持つように。いくつかの農家さんを訪ねる中で、自然の中で身体を使いながら仕事をすることへの愉しさを感じ始めたそう。現在畑の一部で実践されている自然農との出会いもこのときだとか。  


[自然農とは?]
耕さず、肥料や農薬を用いず、草や虫たちを敵にしない” という考え方で行われる自然の営みに添った栽培の仕方です。(『赤目自然農塾』より引用)


草や虫をも敵とせず 

雑草は綺麗に除草をし、害虫は寄せ付けない、あるいは見つけたら殺める。という、それまで知っていた農法とは違い、それらをも自然と捉える”自然農”で野菜を育てる農家と出会う。
自然から無理やり切り離された農業ではなく、自然と共生する農業。そして何より、「雑草が生え虫が沢山いるこんな環境でも野菜が育つのなら自分もできそう。笑」 既存の概念にとらわれない自由度の高さがさらに自然農への興味を加速させる。 


地縁のある関西へ 

もともと京都出身の大輔さんは土地勘もある隣の滋賀県で就農することを決める。滋賀に移り住んだ当初は山仕事などのバイトをしながら、朽木や現在の畑で作物を育てる日々が続いた。奥さんと出会われたのもこのとき。絶景パノラマが見える現在の畑もはじめから決めていたわけではなく、偶然の成り行きから。なんだか大輔さんの生き方自体も旅の一部なのかなと思わされたり。  


「当初は自然農でスタートしたのですが、現在は自然農や自然栽培、炭素循環、有機農業をミックスして色々試しながらやっている所です。」


理想と現実のギャップはありながらも、「環境になるべく負荷をかけない農業をしたい」という想いは変わらず、試行錯誤の日々が続く。


やっぱり米が好き 

現在ねっこ自然農園は、お米を中心に栽培。「主食として食べるならやっぱりお米。育てるサイクルも年間を通してなので、野菜とはまた違いそれも性に合っているのかもしれない。」そう言われてみるとたしかに、なんでも農業で一括りにしていまいがちだが、時間軸や考え方は何を育てるかでまるっきり違っていることに気づかされる。 

お米作りや野菜以外にも、これからちょっとずつではあるけれど高齢化により空き始めた農地で果樹栽培や養鶏も検討中なのだとか。今後の展望も素敵。


見えないけれど大切なこと 

屋号である【ねっこ自然農園】を命名した大輔さん。
「見えてへんけど、大事なことってあるよね。植物のねっことか。」

暮らしになくてはならない食べ物。それはまさに命の根源である。基本的に実や葉という見える部分を食べる植物も、直接は見えない場所でで支えている根っこがあって成長する。華やかに見えるものもそんな見えない部分があるからこそ成り立つ。

周りがこうしてるから”こうあるべき”という道ではなく、いつも正直に「自分らしくいられる道」。心の”ねっこ”にある率直な気持ちに目をそらさず、耳を傾けてきた軌跡がこの名前の“ルーツ”なのかもしれない。 



番外編・田んぼのがっこう

現在、ねっこ自然農園さんの活動の1つに『田んぼのがっこう』というものがあります。

今年度の締め切りはすでに終了しているため来年度からになりますが。


 以下”ねっこ自然農園ホームページ”より 
一年を通して、田んぼでお米を作るワークショップです。
将来、田んぼをしたい、米作りをしてみたい、自分で育てたお米を食べたい
自然の中で仲間や家族と共同作業をしてみたい!そんな方を募集します!

詳細はこちら。

「土の匂いや水の冷たさや四季の移ろいを肌で感じ、実るまでの過程や自然の有り難みを噛みしめる。」体験することでしか学べないことが凝縮されてます。

ありそうでなかなか見つからないこうした体験の場は、大人も子どもも関係なく学べる場所だと思います。先述したように、びわ湖が眼下に広がる段々畑でぜひご家族で行ってみてはどうでしょうか。(スケジュールなどの詳細や申し込みはねっこ自然農園HPへ)


 最後に

 お子さんがまだ小さく、基本一人で農作業をすることも多い大輔さん。旅と同様に自分と向き合う時間も多く、時には一言も誰とも会話せず終わってしまう1日もあるらしいです。

ファーマーズマーケットを通して、他の誰かと会話する ”息抜き”としても楽しみにしてもらっているということで、また違うファーマーズマーケットの意義を知ることができた今回の訪問でした。


ねっこ自然農園さんの情報

ねっこ自然農園 
〒520-0503
大津市北比良 
加藤大輔
neccofarm@gmail.com

くさつFarmers' Market

かつて東海道の宿場町として、多くの人がほっと一息ついた場所”くさつ”。 時代は変わっても、肩肘はらずのんびりとした時間を感じられ、 心の趣くままに愉しめる、そんな場所が残り続けることを。 週末の憩いの場として、温まりある空間をみなさんとともに育めますように。

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