midori-yaさん【花・苗・ドライフラワー/高島市】

 今回訪ねたのは、midori-yaさんご夫婦。草津から1時間車を走らせると、左手に山、右手に琵琶湖、あたりには田んぼや畑が広がる。そんな自然豊かな高島市安曇川町で、自然派の花屋と南仏ハーブ料理のレストランを営んでおられます。(現在は新型コロナウイルスのためお花のレッスンとマルシェ出店のみ)  

 11月5日から同じく高島市にある喫茶古良慕さんのギャラリーにて花展を開かれるということで、そちらでお話を伺わせていただきました。 



病気をして生まれた変化
 

 結婚して1年目。旦那さんに胃がんが見つかり手術をされました。それまではサラリーマン、パートとしてお互い忙しく働く日々でしたが、病気を機に暮らしを見つめ直すように。

 幼いころから渓流釣りに連れて行ってもらったり、祖母の畑に行ったり。大学生になってからは、自分で家庭菜園を始めて野菜を育てたり。とにかく自然と触れる機会が多かった旦那さん。

 一方、奥さんも以前からガーデニングが好きで、休日にはリースを作ったり、ベランダで花を育てたりするのが好きだったおふたりは、花屋をしようと決めます。 

  しかし、これまでどちらも仕事として花に携わった経験が無かったことから、旦那さんは花の学校へ通い、他のパートを続けていた奥さんも生花店のアルバイトとしてそれぞれ花屋の道に。

  旦那さんはウエディングなど特別な日の芸術的な花を作る、奥さんは市場の中にあるお店でたくさんの数の日常的な花を扱う、という対照的な場所で経験を積みました。

 

 お互い異なる環境で働いたことで花の等級による違いや、仕入れ先の違いなどを知ることができたといいます。材料としてお花を届けるのか、作品として届けるのか、日々自分たちの目指したい花屋のイメージをどんどん膨らませていきます。 



花屋も、農的な暮らしも
 

奥さんが花屋さんに勤め始めて1年目の頃。子どもを授かったこともあり、自分たちのお店を持ちたいという気持ちが芽生えてきたそうです。当初は旦那さんの実家をテナントにしようとするも、両親から反対を受け一から場所探しを始めます。

「老後の保証はないし、花屋も田舎暮らしも今まとめてやっちゃえってね笑」と旦那さん。

 自然が好きなお二人は、自然を大切にしたスタイルの花屋を目指しながら、それまで関心を寄せていた田舎での農的な暮らしもできる高島市の古民家へとたどり着きます。 



なにを選ぶのか
 

 しかし、ほどなくして最初に借りた古民家は、事情で拠点を移ざるを得ない状況に。街の中の花屋としてやっていくか、自然に近い暮らしの中で花屋をするか。あれこれ悩んだ末に、自然の中での暮らしを追求しながら花屋を営むことに決め、熊野古道の山奥に移住します。
 

「これは必死の覚悟でした」と奥さん。

 それもそのはず、家のキッチンはかまど、お肉は近所の猟師さんが獲って捌いた猪、20年ほったらかしの田んぼ。家の前は、軽自動車が一台ギリギリで通れるか、通れないかくらい細い道路。そんな場所で、自給の暮らしがスタート…したはずでしたが。 



花の仕事と自然との暮らしの両立
 

 やはり熊野古道での暮らしの中で、花屋としての仕事は難しいものでした。お客さんが容易に来れるようなところではないし、ネット通販もうまくいかず。数ある花屋さんの中でmidori-yaさんのスタイルを求めてくれる人とつながりを保てる距離、その人たちの手の届くところにいなければ仕事にはなりません。


結果的に、花屋を営みながら自分たちの求める暮らしができる高島市へ再移住します。 



届けたい想いを生業に 

 midori-yaさんのモットーは、

”野に生えているような自然のものと販売されている花を組み合わせた、自然を踏まえながらも素朴ではなく美しいものを”。

 どんなものを届けたいか。どんな花屋で在りたいか。これは滋賀に移住してからの暮らし。熊野古道での自給自足の暮らし。そしてその後この高島市にもどって来た暮らしがあるからこそ、見えてきた部分なのかもしれません。


 「自分たちの作品を通して自然の美しさ、素晴らしさ、大切さをもっと多くの人にアピールしたい。そしてそれを生業としていけたら。」 そんな風に語ってくださいました。 



最後に
 

これまではお花屋さんと言えばビビットなカラーでぱっと明るいというイメージが強い印象でした。しかしお話を聞き、作品をじっくり見せていただいたことで、印象がガラリと変わりました。 


 生花のような凜とした雰囲気と、華道のような華やかさはない。けれど自然の中で生きる花たちを大切にし、自然の美しさに寄り添った作品には生き物のあたたかさと力強さがあり。いつまでも見ていたくなります。
 

 そんな作品の根底には、「必要なものを必要な分だけ手に入れるために生業を」という自然の中での人間らしさを大切にした暮らしがあるのだと知ることができました。


 

 おふたりの穏やかな人柄もあってか、ギャラリーには時間を忘れるゆったりとした空気が流れていました。私たちも自然の一部であることを思い出させてくれる雰囲気。  

  きちんと。でも肩肘張らずに自然体。そんなmidori-yaさんの作品をマーケットで触れてみてください!   



おまけ

カフェ古良慕さんでのランチ

くさつFarmers' Market

かつて東海道の宿場町として、多くの人がほっと一息ついた場所”くさつ”。 時代は変わっても、肩肘はらずのんびりとした時間を感じられ、 心の趣くままに愉しめる、そんな場所が残り続けることを。 週末の憩いの場として、温まりある空間をみなさんとともに育めますように。

0コメント

  • 1000 / 1000